寝付けない夜に試す。スマホを置いて5分でできる入眠ルーティン

はじめに

ベッドに入ったのに、目が冴えてどうにも眠れない。

天井を見つめながら早く寝なければと思えば思うほど、頭の中は明日の予定や気になることでいっぱいになる。そんな夜、つい手を伸ばしてしまうのがスマホ。でもそのスマホが、眠れない原因をさらに悪化させているとしたら。

私が実際に試してこれは使えると思ったのが、布団の上でできる5-4-3-2-1法。たった5分。道具も必要ありません。スマホさえ別の部屋に置いてしまえば、あとは自分の体と向き合うだけ。

全部完璧にできなくてもいい。3ステップだけでも、確かに違います。そんな緩さが、逆に続けられる理由なのですね。

入眠ルーティンのイメージ

5-4-3-2-1法とは? 頭のスイッチを静かに切る5ステップ

5-4-3-2-1法は、もともと不安やパニックの発作を鎮めるグラウンディング技法として知られている手法を、入眠用にアレンジしたもの。数字を逆に数えていくシンプルさが、散らかった思考をひとつずつ手放していくのにちょうどいい。

ステップやること目安時間
5深呼吸を5回する約60秒
4体の力を抜く場所を4箇所思い描く約60秒
3今日よかったことを3つ思い浮かべる約90秒
2肩の力を2回抜く約30秒
1おやすみと1回声に出す約10秒

たったこれだけ。でも、この5ステップには脳と体を睡眠モードに切り替える理屈がちゃんと詰まっている。次から、ひとつずつ詳しく見ていこう。

ステップ5:深呼吸5回が副交感神経をオンにする

最初の5回の深呼吸。これがすべての土台。

吸うより吐くを長く。4秒かけて鼻から吸って、6秒かけて口からゆっくり吐き出す。これだけで心拍数が落ち始めるの、自分でもわかります。

なぜ効くのか。

わたしたちの自律神経には、活動モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経がある。日中は交感神経が優位で、眠るときは副交感神経にバトンタッチしないといけない。ところが、考えごとや不安で頭がいっぱいだと、交感神経がオフにならずバトンが渡せないまま。

そこで深呼吸。ゆっくり息を吐くと、肺にある伸展受容器というセンサーが刺激されて、迷走神経を通じて脳に落ち着いていいよという信号が送られる。これが副交感神経への切り替えスイッチになる。要するに、吐く息は体におやすみを伝える合図なのですね。

コツはうまくやろうとしないこと。呼吸に集中しようとすると逆に力むから、ただ吐いてるなあくらいの気持ちで。5回数えたら次へ進もう。

ステップ4:力を抜く場所を4箇所思い描く——筋弛緩の小さな旅

深呼吸で少し落ち着いたら、今度は体の中を意識で旅していく。

やり方はこんな感じ。

  1. おでこ——眉間にぐっと力を入れて、ストンと抜く。あ、ここ力入ってたんだって気づくだけでも変わる
  2. あご——歯を食いしばっていない? 奥歯の力をふっとほどく。寝てるときの歯ぎしりの原因もここ
  3. 肩——耳の方にぎゅっとすくめて、一気に落とす。デスクワークの疲れがここに溜まってる
  4. 太もも——ベッドに押しつけるように力を入れて、だらんと解放。下半身の力が抜けると、不思議と全身が沈み込む感覚になる

これは漸進的筋弛緩法(PMR)という心理療法のテクニックを簡略化したもの。もともとはアメリカの医師エドマンド・ジェイコブソンが開発した方法で、意識的に筋肉を緊張させてから弛緩させると、より深いリラックス状態に入れるという原理に基づいている。

体の力を抜くのって、頭でリラックスしろって言うより、一度ぎゅっと力を入れてから抜くほうが断然楽です。コントラストがはっきりするからね。

筋弛緩のイメージ図

ステップ3:今日よかったことを3つ思い浮かべる——感謝が脳の警報を静める

ここが、このルーティンの中でいちばん好きなステップ。

今日あったよかったことを3つ、布団の中で思い浮かべる。別に大きなことじゃなくてよいのです。コンビニの店員さんが感じよかった、帰り道にきれいな夕焼けを見た、昼のコーヒーがおいしかった。それくらいで十分。

なぜこれが効くのか。

不安やストレスで眠れないとき、脳の扁桃体という部位が過剰に活性化している。これはいわば脳の警報装置で、ここが鳴りっぱなしだと当然眠れない。一方、感謝やポジティブな記憶を呼び起こすと、前頭前野が活性化して扁桃体の過剰反応を抑えることが複数の研究で示されている。

感謝日記をつけると睡眠の質が上がる、という研究もあるくらい。私も最初は半信半疑だったけど、やってみると意外と今日も悪くなかったなと思えて、その安心感が自然な眠気につながるのですね。

3つも思い浮かばない日は、無理しなくてよいのです。布団に入れたってだけでも立派な1つ。

ステップ2・1:肩の力を2回抜いて、おやすみと声に出す

最後の仕上げ、2と1。短いけど、ここが意外と大事。

肩の力を2回抜く。

ステップ4でも肩をやったけど、ここでもう一度だけ。意図はやり残した力みの最終チェック。耳と肩の距離をぐっと縮めて、ストン。もう一度縮めて、ストン。たった2回。でもこの2回で、ステップ4で抜けきらなかった微細な緊張がほどける。

おやすみと声に出す。

そして最後。小さな声でいいから、実際に声に出しておやすみと言う。

これ、自分自身への業務終了宣言なのですね。脳は不思議なもので、声に出して区切りをつけると、本当にそのモードが終わる。心理学では自己教示と呼ばれる仕組みで、自分の声が自分の脳に直接指示を出せる数少ない経路。

声に出すのが恥ずかしいときは、心の中で唱えるだけでもいい。でも本音を言うと、声に出したほうが効く。自分におやすみと言ってもらえるの、意外と悪くないのですね。

スマホを別室に置くことの科学的な意味

5-4-3-2-1法の前提として、スマホは寝室に持ち込まない。これ、精神論じゃなくて生理学的な理由がある。

ブルーライトがメラトニンを抑制する。

スマホの画面が出すブルーライトは、波長が短くエネルギーが高い。目から入ったブルーライトは、脳の松果体にまだ昼間だと錯覚させる。すると睡眠ホルモンのメラトニン分泌が抑制されて、体内時計が後ろにずれる。寝る直前のスマホ視聴でメラトニン分泌量が平均23%低下したというデータもある。

通知の呪縛から解放される。

もうひとつは心理的な距離。枕元にスマホがあると、ちょっとだけのつもりが気づけば30分。しかもSNSやニュースを見てネガティブな情報に触れると、ストレスホルモン(コルチゾール)が上がってしまう。眠る前にやることじゃない。

具体的なやり方としては、充電器ごとリビングに置くのがおすすめ。目覚ましが必要なら、1,000円くらいのアナログ目覚まし時計で十分。私はこれに変えてから、寝る前のなんとなくスクロールがなくなった。

寝室環境を整える——暗さ・温度・音の3要素

せっかくルーティンで体を整えても、寝室環境が睡眠に適していなければもったいない。ポイントは3つ。

暗さ。寝室は真っ暗が理想。豆電球すら明るすぎる場合がある。遮光カーテンが難しいなら、アイマスクで十分代用できる。光はまぶたを透過して脳に届くから、想像以上に睡眠の質に影響する。

温度。快眠に適した寝室温度は夏で25〜26℃、冬で16〜19℃程度とされている。体温が下がるタイミングで眠気が訪れるので、暑すぎる部屋は入眠を妨げる。逆に冬場の冷えすぎもNG。自分に合う温度帯を探してみていただきたいです。

音。完全な無音より、一定のホワイトノイズがあるほうが眠りやすい人も多い。扇風機の音や、雨音アプリなど。ただしスマホで再生する場合は、操作しない工夫(タイマー設定して画面を伏せるなど)が必須。

寝室環境の整え方イメージ

まとめ:完璧じゃなくてよいのです。3ステップでも変わると言える理由

5-4-3-2-1法のいいところは、全部できなくても効果があるところ。

たとえば今日よかったこと3つが浮かばなければ深呼吸だけでもいいし、肩の力抜きを忘れてもおやすみを声に出せたらそれでOK。完璧を求めると続かない。それよりも、昨日よりちょっと寝つきやすかったかもしれません、くらいのゆるい実感を積み重ねていくほうが、結局は遠くまで行ける。

私も最初は半信半疑だった。でも1週間続けてみて、なんか知らないうちに寝てたという夜が増えた。それだけで朝の気分が変わる。たかが5分。されど5分。

今夜から、スマホを別の部屋に置いて、布団の中で試してみない?


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